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甘木さん

1.魔界転生
我が読書人生において不動の一位を占める作品。私は都内の某まじめ・お嬢系大学に通っていたのですが、入学する時に学校に提出した書類の「愛読書」の欄にも堂々とこの作品名を書きました。
もう十兵衛様の男っぷりににくらくらの一冊ですね。あと、ラストの武蔵との対決が完璧に吉川英治の「宮本武蔵」にそっている点や、道成寺のように鐘の中に娘が閉じこめられるシーンなどなど、「趣向」もばっちり。
それだけに角川映画版は「なんだかなあ・・・」だったです。

2.柳生忍法帖
高校時代、「魔界転生」とこの「柳生忍法帖」のせいで、結構真剣に「十兵衛様と(「十兵衛様みたいな人」ではない)結婚したい・・・」と思い詰めたことがありました。不毛・・・。

3.忍びの卍
めくるめくストーリーに「こんなに面白くてよいのか」という気さえしました。例によって妙な忍者によって妙な忍法合戦がくりひろげられますが、最初に主人公がそれを見て「そのような忍法がなんの役にたつのか」と言ったのには爆笑。まさにその通り。でも、強引に役に立っちゃうんですよね。セックスで他人の体に乗り移る技を持つ忍者が「3/10と7/10ずつ二人の人間に乗り移る」という哲学的問題を内包していそうな気がしないでもない試みに出る場面など、抱腹絶倒の場面が多い
忍法帖のBESTかも。

4.戦中派不戦日記
これを読んだとき私は日記を書いた当時の著者と同じ23歳でしたが、時代の違いがあるとはいえ、思考能力、感性、教養のあまりの差に愕然としました。自分がいかにぼんやりと生きているかに気づかされた一冊。戦争中の記録としてより、ひとりの青年の精神の記録として圧倒されました。

5.八犬伝
最初は「実の世界」より「虚の世界」が面白く、「実」の部分を読んでいても「虚」が気になってしょうがなかったのが、だんだん「実」の方がスリリングな世界に。特に馬琴、北斎、鶴屋南北3人の問答の場面がお気に入り。南北先生=山風先生では?

6.明治十手架
たぶん初めて読んだ山風明治物がこれです。映画でも刑務所物は好きなので(「ショーシャンクの空に」「第十七捕虜収容所」「穴」等)、原胤昭が石川島送りになってからの展開にわくわくしました。山風作品のラストはすっきりハッピーエンドというものが皆無といってよいですが(でも後味は悪くならないのが不思議)、この作品もほんのりとした悲しさが残るなあ。

7.ラスプーチンが来た
話そのものよりも、まさに「快男児」明石元二郎のキャラクターにくらくら。この「くらくら」感は十兵衛様以来とも言えますが、決して「結婚したい!」というような種類のものではないです(^-^)
しかしこんな不潔なヒーローというのも珍しい・・・。ラスト、愛しい人がラスプーチンとともにロシアへ去ってしまい、結びの一文。
「海の果てに煙がきえたころ、もうだれもいない岸壁から明石は立ち去った。その髭面は名状しがたい哀愁に満ちていたが、あとには一発の大きな屁の音が残された」
 凄い。ラストの一文BESTでは間違いなく1位ですね。

8.東京南町奉行
MY BEST山風・短編の部ではこれが1位。謎の老人の正体が最後の最後まで明らかにされない展開もぞくぞくするし、ラストの主人公の悲惨さも鮮烈で、シャープな感じのする作品ですね。
 あと短編では「伝馬町から今晩は」もお気に入り。この作品の高野長英は「迷惑な主人公」NO.1でしょう(教科書では「悲劇の偉人」扱いだけに一般的イメージとの落差が激しい)。
 
9.風来忍法帖
実は昔1度読んだきりなので、詳細なストーリーは忘れてしまったんですが、読み終わったとき「うわー、なんだか満腹。ごちそうさま!」というぐらい面白かった記憶が残っています。長い忍法帖ものは大体そういう満足感が残りますが。「忍法剣士伝」もそうでした。でも、「風来」も「剣士伝」もご本人の評価ではB級・C級なんですよね〜。あんなに面白いのに〜。

10.柳生十兵衛死す
 十兵衛様ファンとしては認めたくない作品という声が聞こえますが・・・実は私もそうです。死んじゃった(→いやいや、死んじゃいや!)というのもあるんですが、「なんか昔の十兵衛様とは、ちがーう!」 という感じが大きいです。
 豪放磊落、でもシャイ等々、十兵衛様の魅力があまり出ていないです。(もうひとつ気になるのが、十兵衛様のつぶれた眼が「柳生」「魔界」では右眼なのに「死す」では左眼という設定になっていること←もちろん慶安の十兵衛様の方が。うーん。) それに、ご本人もおっしゃっているように昔の「濃さがない。」
 でも、でも、この作品の構成力・着想はやっぱり素晴らしいなあ、と思います。忍法帖や一連の十兵衛様シリーズではなく、室町物として単純に面白いです。七重の塔がせりあがってくるところなんて本当にわくわくしましたし、現在と並行して存在する過去、という考えもスリリングでした。
 で、あえて10位にあげました。

 以上、思いつくままにあげていったので、4位以下は殆ど順不同です。未読のものや読んでも忘れちゃっているのも多いですし。一般的に完成度が高いとされ、人気も高いと思われる「伊賀忍法帖」「甲賀忍法帖」「く ノ一忍法帖」「警視庁草紙」「幻燈辻馬車」等がはずれているのが私らしいかな、というのが感想です。でも、一度目に読んだ時のインパクトで決めているので、もう一度読んだらわからん、というのもかなり入っています (^0^)
 あと、漫画みたいな面白さの「室町お伽草紙」、全部犯人が同じ人というふざけたミステリー「妖異金瓶梅」も捨てがたい作品でした。
 でも、結局山風作品ってぜーんぶ面白いので、困っちゃいますね。

 

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