岡部さん

──忍法帖──
 
「忍者月影抄」
忍法帖「基本」のトーナメント方式の作品のなかでは、これが一番好き。「甲賀」ももちろん面白いが、こちらのほうが作者に余裕があって、その遊びの部分がいいのだ。
 
「忍法八犬伝」
ストーリーは、はみだしもの達がお姫様を命懸けで守る、という部分が「風来」と似ているが、こちらのほうがすっきり纏まっている。もちろん、悲しいような切ないような、それでいてとてもすがすがしいラストは、どちらも大好きです。
 
「笑い陰陽師」
作者得意の連鎖式だが、忍法帖ではこれだけ。忍法帖は、短編のほうが突き抜けた馬鹿馬鹿しい忍法が多いので、それを纏めて楽しめる。それにしても、好きだなあ。
 
──明治物──
 
「警視庁草紙」
明治物のなかで一番分厚く、ストーリーも一番面白い。
 
「幻燈辻馬車」
たまらなく美しい世界。僕は以前から、宮崎駿監督でこれを映画化してほしいのだが、いかがなものか。実写では、無理でしょう。
 
「地の果ての獄」
五寸釘の寅吉のことを、少し前にテレビの「上岡龍太郎の三面記事」で紹介していた。平岡正明のいうように、こういう実際の記録と比べてみるのも、面白そうだ。
 
「明治十手架」
これまた、とても美しい世界が展開されている。ただ、風太郎本人の言う「濃さ」のようなものは、この作品あたりからやや薄れているのではないか、という気もする。とはいえ、ストーリーの面白さは相変わらずで、とても好きな作品だ。
 
──室町物──
 
「柳生十兵衛死す」
いまさらコメントすることもないが、あえて言うと。タイトルを、もう少し考えてほしかった。このストレートなのもいいが、もっといい題名を考えられる気がする。風太郎は題名変更が多いので、もう一度別の文庫に入ることがあれば、そのときに期待。ちなみに「飛騨」より「軍艦」が好きだが「銀河」なら「天の川」が良かった。
 
──その他──
 
「白浪五人帖」
これか「忍法八犬伝」が、僕が最初に読んだ作品。そんわけで思い入れも強いが、作品自体も「忍法帖」っぽさが端々にみられて、そういう点でも面白い。
 
「おんな牢秘抄」
主人公がいい。
 
ほかにも、「魔界」「柳生」「甲賀」「風来」「断頭台」等も、勿論とて好きです。あと、短編は、いれるときりがないから省きました。それにしても最近は、全然知らなかった作品まで復刊されていて、あとめぼしいものといえば、「忍法相伝73」「忍法創世紀」ぐらいではないでしょうか。作者がなんと言おうと構わないから、各出版社の努力に期待しています。


おまけよしの

きりがないですが、脳漿しぼって無理やりしぼってみますと、長編なら上から『くノ一忍法帖』『魔界転生』『妖異金瓶梅』『警視庁草紙』『笑い陰陽師』、短編なら、「虚像淫楽」「天誅」「死なない剣豪」「忍法聖千姫」「忍者車兵五郎」ですかしらん。★ああああああ、でも『十三角関係』がっ「牢屋のぼっちゃん」がっ

 

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