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ストラングル成田さん

 

最初に読んだ風太郎の本が古本市のゾッキ本コーナーで売っていた「十三角関係」。しかも日影丈吉の「多角形」と勘違いして買うというお粗末。でも、作品の素晴らしさに唖然。
変な入り方をしたせいか、私にとっては、風太郎は、論理の人というイメージが抜けません。本人は、推理小説を書く才能がないとあちこちで書いていますが、私としては、風太郎氏は、ロゴス中心主義というか論理至上主義というが根底にある極めて男性的な作家だと思っています。その意味では、サドに似ているかもしれません。(読んでないけど)。
だから、私にとって、「柳生」の最も魅力的なところは、、特に前半部分の二重、三重に入り組んだパワーゲームの論理が物語を支配していくという面白さです。主にそういう観点から、選んだ作品群です。

○長編(刊行順)
「妖異金瓶梅」
 二重、三重の拘束をエネルギーに変えた「天下の奇書」。完成までに5年半の月日を要していることにも要注目。
「十三角関係」
 各種名作表に載っていないことに憤りを感じる完璧なミステリ。
「甲賀忍法帖」
 英訳されれば、世界の娯楽小説の歴史が変わっていたかもしれない。
「くの一忍法帖」
 掟破りの序章に度肝を抜かれた。
「太陽黒点」
 ミステリ史に前例も後例もない希有な作品。例のフレーズが頭から離れない。
「信玄忍法帖」
 忍法、ドラマツルギーともに、完成度高し。
「柳生忍法帖」
 この雄渾、この壮大。昭和物語文学の金字塔。
「外道忍法帖」
 一編の長編で論理的に45人の忍者を次々に消していき、最後に自爆するという壮大な実験小説。
「幻燈辻馬車」
 終章で走り出す男を描いてあまりにも美しい。私的には明治物ベスト。
「明治断頭台」
 本格ミステリが「木曜の男」風寓話に変貌するスリリングな瞬間。

○短編(発表順)
「虚像淫楽」
 2転、3転する推理の度に、病床の女性像が変貌する超絶技巧。
「永劫回帰」
 乱歩の「火星の運河」に匹敵する形而上ホラー。
「蝋人」
 ミステリ、ホラー、恋愛小説、幻想小説のすべてを兼ね備えた逸品。
「新かぐや姫」
 「黒衣の聖母」と対をなす、聖女/娼婦ものの極点。
「姫君何処におらすか」
 一片の無駄もない、まさに「天帝への果実」
「鳥の死なんとするや」
 我がオールタイム・ショートショートベスト3に入る。
「忍者枝垂七十郎」
 最高のスパイ小説を読んでいるような悲しさ、せつなさ。
「動機」
 後期山風ミステリも凄い。精密機械が動いているような。
「叛の忍法帖」
 それぞれの動機と忍法の組合せで4人の忍者がトラバター状になるという珍作。まさに論理による幻想とユーモア。ボルヘスに読ませたかった。
「首の座」
 幕末物のマイ・ベスト。

 10じゃ全然足りない。しかも、まだ未読多し。
 やっぱり金井美恵子のように、山田風太郎の書いたもの
 は、全部好きというしかありませんね。

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