読書好日
99.2-4月分
99.4.20
電子計算機はこう使われている〜〜有名会社・官庁の活用事例公開
中島朋夫・1966年発表・講談社ブルーバックス440 古本屋の100円店晒しコーナーでゲット。しかしあたしですらまだ生まれてないよ1966年・・・ 電子計算機で〜、パンチカードで〜、記憶媒体テープで〜という時代。ほんで企業の物流管理とか消費者の傾向分析とか市場予測とかいろいろ。CG使った車のデザイン構築とかの話もぎりぎりでてくる・・ 「電子計算機」でもやれることはみんな頑張ってやってたのね、としみじみ。 もうちょい電子計算機の未来について大風呂敷広げてあったら資料として面白かったのだけど。 (99.4.20 ・ 社会学/CMC資料)
ひとはなぜ自分自身のテクストが読めないのか
大浦康介・1998年発表・人文学報 エッセイ風の書き方なのだけど、テクストを「分かる」ということを読みのテンポの同期の成功としてとらえて、自分のテクストの読みずらさは同期の努力が必要ないからだとしてみたり、書くプロセスにおいてちらちらする「一般的な読者」から後半は文学理論総ざらいで読者概念→物語概念。後半の理論言及は知らないやつがいっぱいあったのだけど参考文献データがいっさいついてないっ(TT) なんとなく、京都ってかんじ。 (99.4.20 ・ 文学/読書行為)
「メディアとしてのインターネット/個人の情報発信メディアとしてのインターネット」(フォーラム報告)
三上俊治・1999-1(Vol.16-No.3)年発表・情報通信学会誌 セッション1〜4まであって、よそでは「グローバル」とか「企業」とかについての報告なのに個人利用の可能性を模索して苦闘なセッション。 赤尾晃一:「web日記」ネタ 庄子平弥:仙台シニアネットクラブ(高齢者のパソコン講習&社会貢献活動)ネタ 干川剛史:災害ボランティアとCMC フォーラムなんでなんだけど、web日記関係への言及はあまりないので面白かった。 (99.4.19 ・ 社会学/CMC)
探偵小説の形成とその文脈──E・ガボリオにおける物語の組織化と過去の表象──
鈴木智之・1998年発表・帝京社会学 千葉であった日本社会学会でこの人の発表みた覚えが。 フランス文学社会学専攻の人なのか、「探偵小説」が出現する転換点にあたるガボリオの作品をいくつかとりあげて、謎の解かれ方の形式から考えている。 で〜も〜ジャンルとしての推理小説はやっぱ英米つーか、国によって結構違うような気がする・・フランスって「本格」ないしなあ・・
(99.4.16 ・ 社会学/テクスト)
アンドロメディア
渡辺浩弐・1997年発表・幻冬舎 人工知能で〜バーチャルアイドルで〜というやつ。いちおー近未来なのだけど、今の技術の延長線上で可能な「未来」なんでもうちょいぶっとんでほしかったような気もするが...もっと根源的な問題は、芸能プロの社長が百億かけてただ生のアイドルをコピーした影武者作ろうとしてるんだけど、それじゃリスクとコストパフォーマンスと採算とれないだろうよ...あ、そもそも人間関係の描写がべたべたすぎるという問題もあるか。 バーチャルアイドルがなんで排除されなきゃいけないのか、いまいちさだかではなく。高校の部室のマシン「イコン」とか楽しそうではあるのだが。
(99.4.16 ・ 趣味)
インタラクティブな環境をつくる(認知科学モノグラフ2)
長尾確・年発表・ 近未来なコンピュータ環境はこうなるる〜という本なのか? とりあえず「エージェント」(データベースなどと人間の仲立ちをするもの)はわかった。けど後半で展開されているユビキタス・トーカー(ウェアラブルな端末もって、歩きナビゲーション)とかってそこまで必要なのかという気も・・
(99.4.16 ・ コンピュータ技術)
ナウシカ解読──ユートピアの臨界──
主に漫画版のナウシカメインで政治と倫理の相克の間に現れる「ユートピア」をときほぐし。 (99.4.6 ・ 哲学&思想)
吸血鬼ドラキュラ
Stoker Bram・1897-1971年発表・創元推理文庫 ジジェクだったかの読解のように(どこに出てたっけ・・)、メディア論として読むべき本。周縁VS.ネットワークテクノロジー。
「書くものをくれ、早くくれ! 書くことが対戦なのじゃ」(P62 訳すごいな・・)
(99.4.4 ・ 趣味)
言語の夢想者──17世紀普遍言語から現代SFまで──
Yaguello, Marina・1984-1990年発表・工作社 「人工言語」およびそのイメージの歴史。ネットにもよくいるよね・・言語で世界を踏み外してる人。 現代SFっていってる割には「1984年」止まりというのが寂しいところ。19世紀以降フィクションから言語への妄想ネタが減ったという指摘もしているのだけど『闇の左手』くらいは入れてほしいよ・・ 巻末の「言語の起源に関する科学的思想の変化」(各古典からの抜粋)は便利かも。
17〜18世紀:「哲学言語」 ライプニッツetc.「事物の真の性質、宇宙の秩序を説明すること」(p190)への欲望。透明な媒介としての言語を純粋化しコミュニケーションのラグをなくそうとする欲望。ガリバー旅行記系旅行譚・言語を媒介にしない純粋コミュニケーションのモチーフの反復 19世紀:言語学の誕生 比較言語学、インド・ヨーロッパ語族の「発見」。言語起源同一説の見え隠れ。 後半に原-言語への希求の放棄。1900年前後30年間の人工言語創造の爆発。エスペラント語の一応の成功。 19世紀末〜20世紀前半:現代言語学における「本質」の放棄(たまに密輸入されてるけど)と他領域の「本質」大増殖 霊媒たち&ペンテコステ派・入神&異言 火星語ったってなあ・・ ヒステリーと本質言語 マール・未来における言語の統一。言語は進化するにつれて単純化・純粋化する。
(99.4.4 ・ 文学/読書行為)
現代思想「特集・アルチュセール」
・98-12年発表・青土社 薄めの特集。 上野修「アルチュセールとスピノザ」わかりやすかった。スピノザ読まなくちゃ。
(99.4.4 ・ 哲学&思想)
東京の空間人類学
陣内秀信・1985年発表・ちくま書房 江戸学系。江戸の都市形成におけるデザインと明治以降取り込み。 もうちょい具体例ねちねちやってほしいような。 明治以降の例がいまいち偏り。同潤会など理念背景にしたものだけでなくフツーのアパートの構造とかをネタにすべきかも。
(99.4.2 ・ 趣味)
蒲生邸事件
宮部みゆき・年発表・光文社 あまりにも、宮部(終わり)
(99.4.1 ・ 趣味)
夜歩く
Carr, Jhon Dickson・1930-1976年発表・創元推理文庫 犯人の毀れっぷりがナイス。完璧な犯人(笑) 本気で惚れてつくして、どーしてもダメで、それで怒りを女に向けるのではなく男ちゃんと殺しにいくというのは政治的にまったく正しい。いやしくも女ならばこういう誇りの持ち方を忘れてはなるまい(嘘)
「刺してやりましたわ。切りつけてやりましたわ。返り血を浴びたけど、いい気持ちでしたわ」 彼女は恍惚として頭をそらし、勝ち誇ったように立っていた。──(P288)
そりゃ、気持ちいいだろう
(99.3.31 ・ 趣味)
ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本
Hearn, Lafcadio・1885-1998年発表・TBSブリタニカ 19世紀後半のニューオリンズ料理。ベースはむしろイギリス料理か? ガンボとかジャンバラヤとかも一応出てくるけど、パイや煮込み料理が中心。 恐ろしく長時間煮込みまくり、脂使いまくりの料理。保存食レシピもいろいろある。
(99.3.26 ・ 趣味)
OUT
桐野夏生・1997年発表・講談社 主人公の造形よし。もっと「毀れる」に奥行きあったら・・と思わないこともないけど、とりあえず面白いからまあいいや。
(99.3.26 ・ 趣味)
プラトン序説
Havelock, Eric A.・1963-1997年発表・新書館 昔読みかけてつんどいたのを引っ張り出し。 プラトンをメルクとするギリシャ哲学への読み書き能力のインパクト解読。(例:プシュケー=生霊・気息→自律的主体)。口誦による共感から、文字による概念の抽象化へ。 訳者による現代メディア論の文脈からの要約・解説つき。 あの妙な詩人批判は口誦文化批判らしい。
(99.3.24 ・ メディア論)
社会とは何か
Frisby, David & Derek Sayer・1986-1993年発表・恒星社厚生閣 デュルケム・ウェーバー・ジンメルなどなどにおける社会概念の解説。 第一章:ヨーロッパの「社会」概念史 ギリシャ哲学〜中世 政体と社会の未分化。友愛(コミュニティ)と正義(政治)。 啓蒙思想 市民社会論&社会契約説 19C以降(ヘーゲル・前期マルクス&文脈ずれるけどコント) 政体と社会の相克というテーマ 概念としての「社会」の独立?
(99.3.17 ・ 社会学/一般)
個人空間の誕生──食卓・家屋・劇場・世界
Tuan, Yi-Fu・1982-1993年発表・せりか書房 主に中国とヨーロッパの空間の分節考古学。例証てんこもり。全体(共同体まったり性)・部分(感覚経験の分節化)・自己(それらを一応再統合するものとしての)てかんじの流れ。面白いけど論文にはちょい使いにくいか(面白すぎて)。
(99.3.17 ・ 社会学/一般)
バーチャル・コミュニティ
Rheingold, Howard・1993-1995年発表・三田出版会 CMC研究古典続編。WELLという60年代文化継承した妙にまじめなBBSのお話。 「ほとんどの人びとは、新しいメディアの到来のニュースを、古いメディアを使って聞かざるをえないのだ」(P97) MUDやIRCの話もあるけど略述 日本(コアラ)・フランス(あんまコミュニティないけど)・イギリス(BBS)の紹介など フランスのミニテルアダルトチャットにはQ2のサクラみたいなのがいるらしい・・時給でるらしい・・
(99.3.9 ・ 社会学/CMC資料)
もてない男
小谷野敦・1999年発表・ちくま新書 ジェンダー論のあなぼこ、「もてない男」を日本文学などをネタに論じたもの。 ひょっとして著者ももてないことにるさんちもってるのか・・?とも思えるけど、るさんちが芸にはなってるかも(笑) 恋愛至上主義批判とかはあおとさんを思い起こすけど、しかーしなぜ恋愛イデオロギー批判するひとは一対一に固着するのか? 謎ではある・・
(99.3.8 ・ 趣味)
インターネット・ラブ──つながりたい女たちの求めたもの
三宅マリ・1998年発表・サンマーク出版 ネット不倫とかそのへんのドキュメンタリ サンプルがなんかいよーにティピカル。いかんともしがたく著者の倫理的バイアスが不快・・描写だせーしよお これもネットをめぐる言説の一つじゃあるか・・
(99.3.8 ・ 社会学/CMC資料)
監視ゲーム
Bogard, William・1996-1998年発表・アスペクト フーコー監視+ボードリヤールシュミラークル(うひゃひゃ) 主体とビッグブラザーの相互監視と共犯、観察者の終焉、観察という行為とそのためのテクノロジーの増殖うんぬん なんだかな・・
(99.2.26 ・ 哲学&思想)
不連続殺人事件
坂口安吾・1947年発表・角川文庫 昔もってたのになぜかなくしていたのを古本屋でゲット いかんともしがたく傑作 解説高木彬光
(99.2.17 ・ 趣味)
戦後の思想空間
大澤真幸・1998年発表・ちくま新書 現在と60年前の思想を対比させたり、京都学派と資本主義の論理構成の平行関係をみたり、ニューアカ総括したり、オウム「サリン」とハイデガー「ガイスト」を対照したりで、後半はさだまらなさてんこもりの「自己」像展開。 なんでねたが戦後の思想空間なのかもはやよくわからん・・・大澤節。
(99.2.15 ・ 社会学/一般)
TEXTUALITY IN CYBERSPACE: MUDS AND WRITTEN EXPERIENCE
Young, Jeffrey R. ・1994年発表・ MUDsネタ。ハイパーテキスト論とかデリダとか援用してなにかかっこいいことを言いたがっているのだけど、現象解説の域は出ず。1994年じゃしょうがないともいうか。 しかしパフォーマティブとかいいながら、MUDsでは自己もオブジェクトで完全にコントロール可能だとか寝言いってたりもする・・をい・・
★OPENING SCREEN ★THE ARGUMENT ★BIRTH OF MUD ★COMPELLING SOCIAL ENVIRONMENT ★PART I: A NEW TYPE OF LANGUAGE EXPERIENCE ★WRITING 'CONVERSATIONS' ★HYPERTEXT AND THE NEW MEDIUM OF THE SCREEN ★WINDOWS INTO TEXT ★LINKING PASSAGES ★TEXT BITES ★CONTROL OF VIEW ★MULTIVOCAL TEXTS ★WRITTEN OBJECT ★VISUAL CUES ★OBJECT ORIENTED PROGRAMMING AND THE POWER OF THE READER ★PERFORMATIVE WORLD ★CONTROL OF SELF ★SELF AS OBJECT: THE DECENTERING GRAMMAR OF MUDS ★TRANSPARENCY/ NON-TRANSPARENCY OF HYPERTEXT ★PART II: SOCIAL ASPECTS OF MUD ★WHAT TO EXPECT IN MUD ★LIBERATING ENVIRONMENT ★MORE OPINIONS OFFERED ★NON-CONFORMITY ★TOO EXPRESSIVE, PUBLIC SPACE OF IMAGINATIONS ★NETSEX AND PHYSICAL VS. EMOTIONAL DISTANCE ★FRAGMENTING READERSHIP ★BEYOND MUD: THE NETWORK'S INFLUENCE ★A PURER FORM OF INTERACTION? (99.2.15 ・ 社会学/CMC)
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