■結論


携帯電話は、単なる「いつでもどこでも連絡がとれる便利な電話」ではない。

□パーソナル・メディアとしての携帯電話


・電話の「個室化」の流れ
 1980年代後半からつづく、「家庭の窓口」から「個人と個人」をつなぐメディアへの電話の変化の延長線上にあるとみなすことができる。
 
・番号通知選択
 「受け手」不利を解消+選択的な人間関係。
 人間関係の流動化と、所属する集団の多層化。

 

□デジタル端末としての携帯電話

・情報端末として強化
 ←インフラとして普及。
 ←電話帳やメールなど、個人データが既に入っていることから、新しい情報サービスを割り込ませやすい。
 携帯電話というインフラから新しいサービスを展開・・・できるのか?


□「選べる自由」と、自由がもたらす「寂しさ」?

 所属する組織(学校・会社)や、いやおうなく生まれ出た家庭など、「選べない縁」を越えて、携帯電話は、本来なら出会っても続かなかったであろう人(例:ジャニーズ少女や路上の縁)や、「わたしが選んだ人」とのつながりを保っていうことで、「わたしらしく」関係をカスタマイズして生きることをサポートするツールとも言える。

 その一方で、ネガティブに捉えれば「使い捨てあう」関係ともいえないこともない。
 「相手を確認したい/されたい」という欲求がとめどなく肥大するような場合に、「携帯電話への依存」とでもいうものが生まれる可能性もある。

 例:15分おきに仕事中の恋人に電話・・・
   部屋着のまま涙ぐみながら、ずっと携帯のアドレス帳操作している女性@山の手線で目撃

 とはいえ、一度得た「自由」を手放すことは非常に難しい。もし携帯を解約するという決断をしても、「携帯電話」的な人間関係に取り巻かれていることには変わりはない。