──そう、一部のDCがサーバを食いつぶしかけ、それが原因で、、 はじめに本報告では、CMC(Computer Mediated Communication)における現実を構成する「適切な振る舞いかた」がどのように生成され定義づけられていくか、またその作法がどのように利用者に認識されているかという問いに接近するために、インターネット上でリアルタイムのチャットを行うIRC(Internet Relay Chat)を、パソコンを使う利用者(以下「PCユーザー」と表記)とセガのゲーム機「Dreamcast」を使う利用者(同「Dreamcastユーザー」)の間で生じた「トラブル」を軸に論じていく。 チャットというコミュニケーションの場における「適切な振る舞い方」は、利用可能なコミュニケーションのリソースを規定するクライアントやチャットシステムの特徴に影響されることはすでに指摘した[吉野:1998]が、異なる仕様に基づいて生まれた異なる作法がぶつかる時、そのギャップや、そのギャップがもたらす「適切な振る舞い方」があるという認識そのものがどのように利用者に意識され、問題化されているかを検討したい。 IRCはさまざまな環境からの接続が可能で、パソコンからの利用でも多様なクライアントからの利用がされている。クライアントにより相手の特定の作法や、使える機能の違いなどはあるが、PCユーザー間ではその差異は透明化され、おおむね意識されないにもかかわらず、Dreamcastユーザーは、PCユーザーの一部や管理者から「トラブル」として扱われ、時には強制的に排除されている。 では実際、どのような行動が「問題行動」として問題化されていたのか、それは何に起因するとみなされていたのか、IRC関連のホームページや掲示板などから、DreamcastユーザーとPCユーザーの間の「トラブル」を検証し、Dreamcastユーザーというひとつのインターネット上の「部族」が、カテゴリーとして成立していった経緯を整理してみたい。
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